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『この育毛剤、本当に根拠があるの?』『広告の「臨床試験済み」ってどこまで信じていいの?』と気になっている方も多いはずです。
結論から言うと、育毛剤のエビデンスは「区分」で見るところが変わります。医薬部外品は承認された効能・効果の表示、発毛剤(医薬品)は添付文書、成分そのものの評価は日本皮膚科学会の診療ガイドライン、と確かめる場所が分かれているんです。
この記事では、それぞれの根拠がどんな性格の物かと、自分で確かめる手順が分かります。
育毛剤のエビデンスはどう確かめる?先に答え
- 医薬部外品の育毛剤は、品目ごとに承認を受け、その範囲の効能・効果だけを表示できる
- 発毛剤(医薬品)は、添付文書に効能・効果、使い方、使用上の注意がまとまっている
- 成分ごとの評価は、日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」で示されている
- ガイドラインは医療者向けの資料で、商品の順位表ではない
- 広告の数字や体験談は、エビデンスの代わりにはならない
『エビデンスがある=誰にでも効く』と思ってしまいがちですよね。でも、どの資料を見ても「誰でもこうなる」とは書かれていません。発毛剤の添付文書にも「本剤は誰にでも効果があるわけではありません」とはっきり書かれているんです。
| 区分 | 根拠を確かめる場所 | 書かれていること |
|---|---|---|
| 医薬部外品(薬用育毛剤) | 外箱・商品ページの効能・効果と有効成分 | 承認を受けた範囲の効能・効果 |
| 医薬品(発毛剤) | 添付文書(PMDAで公開) | 効能・効果、用法・用量、使用上の注意 |
| 化粧品(頭皮用ローション等) | 外箱・商品ページ | 決められた56項目の範囲の効能。育毛はうたえない |
| 成分そのもの | 日本皮膚科学会の診療ガイドライン | 試験の結果をもとにした推奨度 |
区分の基本は医薬品・医薬部外品・化粧品の違いの記事で、育毛剤と発毛剤の違いは育毛剤と発毛剤の違いの記事で紹介しています。
医薬部外品の「承認」は何を意味する?
薬用育毛剤は医薬部外品で、法律では「人体に対する作用が緩和なもの」とされています。使う目的のひとつとして「脱毛の防止、育毛又は除毛」が法律に書かれています。
医薬部外品の効能・効果は、品目ごとに承認を受けた範囲でしか表示できません。厚生労働省の通知では、育毛剤(養毛剤)の効能・効果の範囲は次のように示されています。
| 通知に書かれた項目 | 内容 |
|---|---|
| 使用目的 | 脱毛の防止及び育毛を目的とする外用剤 |
| 主な剤型 | 液剤、エアゾール剤 |
| 効能又は効果の範囲 | 育毛、薄毛、かゆみ、脱毛の予防、毛生促進、発毛促進、ふけ、病後・産後の脱毛、養毛 |
つまり、薬用育毛剤の外箱に書かれた効能・効果は、承認を受けた言葉なんです。ここが、医薬部外品のエビデンスを見る時のいちばんの手がかりになります。
一方で、通知の範囲を超える言い方は広告で使えません。東京都の講習会資料では、「○○型脱毛のあなたにお奨め」のように特定の脱毛のタイプに効くとうたうことは、医薬品の効能効果にあたるとしています。
化粧品の頭皮用ローションの場合は?
化粧品の効能は、国の通知で決められた56項目の範囲に限られます。頭皮や髪については「頭皮、毛髪をすこやかに保つ」「フケ、カユミを抑える」などがあり、育毛をうたうことはできません。
化粧品について、東京都の講習会資料には「育毛の標ぼうは一切不可」という言葉で線が引かれています。『育毛』の根拠を求めて選ぶなら、まず医薬部外品の表示がある商品から見ていく、ということですね。
審査の資料は誰でも読める?
PMDA(医薬品医療機器総合機構)は、承認された医薬部外品の審査報告書と申請資料の概要を公表しています。ただし、公表されるのは、国の審議会の化粧品・医薬部外品部会で審議された品目に限られます。
『自分が使っている育毛剤の試験の資料を読みたい』と思っても、すべての商品の資料が公開されているわけではない、ということですね。気になる時は、販売元に問い合わせてみてください。
ある成分が評価されていても、その成分を配合した商品ごとに、量や組み合わせは違います。成分の話と商品の話を分けて考えるのがコツです。
発毛剤(医薬品)の根拠は添付文書で見る
ミノキシジルを配合した発毛剤は、一般用医薬品の第1類医薬品です。発毛剤のエビデンスを確かめたい時は、まず添付文書を読むのが近道なんです。
添付文書は、PMDAのウェブサイトで販売名を入れると探せます。ある製品の添付文書では、効能・効果が「壮年性脱毛症における発毛、育毛及び脱毛(抜け毛)の進行予防。」と書かれています。
| 添付文書の欄 | 読み方のポイント |
|---|---|
| 効能・効果 | どんな状態に使う薬として承認されているか |
| 用法・用量 | 1日の回数・1回の量・使える年齢 |
| 使用上の注意(してはいけないこと) | 使えない人(女性・未成年 等)や使えない頭皮の状態 |
| 使用上の注意(相談すること) | 使う前・使っている途中で医師や薬剤師に相談する場面 |
| 効果の目安についての記載 | 「少なくとも4ヵ月間、毎日使用」「誰にでも効果があるわけではありません」など |
ある製品の添付文書には、使うのをやめると「徐々に元に戻ります」とも書かれています。こうした注意書きも、根拠の一部としてセットで読んでおきましょう。
『発毛剤のエビデンスがあるなら、そっちのほうがいいのでは?』と迷う方もいるはずです。ただ、発毛剤は使えない人や相談が必要な人の条件が細かく決まっている医薬品です。
使うかどうかは自分だけで決めず、購入する時に薬剤師へ相談してください。第1類医薬品は、薬剤師が書面で説明したうえで販売するきまりになっています。発毛剤そのものについては発毛剤とはの記事で紹介しています。
診療ガイドラインとは?推奨度の読み方
日本皮膚科学会は「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」を公開しています。治療や成分について、どのくらいの研究があるかを整理して、推奨度を付けた医療者向けの資料です。
推奨度は、もとになった研究の種類(エビデンスのレベル)をもとに決められています。
| エビデンスのレベル | 研究の種類 |
|---|---|
| I | システマティック・レビュー/メタアナリシス |
| II | 1つ以上のランダム化比較試験 |
| III | 非ランダム化比較試験 |
| IV | 分析疫学的研究(コホート研究や症例対照研究) |
| V | 記述研究(症例報告や症例集積研究) |
| VI | 専門委員会や専門家個人の意見 |
| 推奨度 | 意味 |
|---|---|
| A | 行うよう強く勧める |
| B | 行うよう勧める |
| C1 | 行ってもよい |
| C2 | 行わないほうがよい |
| D | 行うべきではない |
ガイドラインには、ただし書きもあります。この分野は国際的にもエビデンスが足りないことなどから、委員会の話し合いで推奨度を決めた項目もある、と書かれているんです。
塗る物で評価されている項目
ガイドラインでは、塗る物(外用)として、ミノキシジル、アデノシン、カルプロニウム塩化物、t-フラバノン、サイトプリン・ペンタデカン、ケトコナゾールなどが取り上げられています。推奨度は項目ごとに違い、男性と女性で分けて示されている物もあります。
アデノシンやt-フラバノンは、医薬部外品の薬用育毛剤の有効成分として配合されている例もあります。例えば、資生堂のアデノゲンの有効成分にはアデノシン、花王のサクセス薬用育毛トニックの有効成分にはt-フラバノンが表示されています。
ただ、ガイドラインの推奨度は、試験で使われた条件での評価です。同じ成分名の商品でも、配合の仕方は商品ごとに違うので、推奨度をそのまま商品の評価として読むことはできません。
『推奨度が高い成分の商品を選べばいいの?』と考えたくなりますよね。気持ちは分かりますが、ここは医師と話す時の手がかりとして使うのがいちばんです。
ガイドラインを読む時に気をつけたいこと
ガイドラインは、医師が診療の時に使うことを前提に書かれています。読む時は次の点を知っておくと、受け止め方を間違えにくくなります。
- 男性型・女性型の脱毛症を対象にした資料で、すべての抜け毛に当てはまるわけではない
- 推奨度は成分や治療ごとの評価で、商品の順位ではない
- 2017年版の内容なので、その後の情報は医師に確かめる
- 「個々の症例に応じて柔軟に使うもの」と書かれている
- 自分に合うかどうかの判断は、医師の診察を受けてから
ガイドラインの免責事項には、「医師の裁量権を規制し治療方針を限定するものではない」とも書かれています。つまり、推奨度が高いからといって、すべての人にその方法が向いているわけではないんです。
また、ガイドラインには医療機関で受ける内服の治療なども取り上げられています。そうした治療は医療機関で相談する領域なので、自分で薬を取り寄せたりせず、皮膚科で話を聞いてみてください。個人輸入の注意は個人輸入の記事にまとめています。
| こんな時 | 相談先 |
|---|---|
| 薬用育毛剤の使い方や成分を知りたい | 販売元、ドラッグストアの薬剤師・登録販売者 |
| 発毛剤を使ってよいか知りたい | 薬剤師(購入時)、医師 |
| 抜け毛が急に増えた・円形に抜けている | 皮膚科 |
| 頭皮に赤み・かゆみ・湿しんがある | 皮膚科 |
育毛剤えらび
買う前に、育毛剤の選び方を確認
医薬部外品の育毛剤・医薬品の発毛剤・頭皮用化粧品の違いと、成分・使い心地・続けやすさ・買い方から自分に合う1本を選ぶ時に見ておきたいポイントをまとめました。
無料育毛剤の選び方を見る広告の「根拠」表示はどう読む?
育毛剤の広告では、「臨床試験で実証」「多くの人が実感」のような言葉を見かけることがありますよね。こうした表示の読み方も、エビデンスを見るうえで大事なところです。
厚生労働省の「医薬品等適正広告基準」の解説では、一般向けの広告で臨床データや実験例を例示することは、原則として行わないこととされています。効能効果や安全性を確実だと保証するような表現も認められていません。
東京都の講習会資料でも、「ほとんどの方に育毛効果が現れた」と数字で言い切るような表現が、保証表現にあたるNG例として挙げられています。
| 広告の言葉 | 受け止め方 |
|---|---|
| 「多くの人が実感」と数字で示す表現 | 保証にあたる表現になりうる。表示されている効能・効果を見る |
| 「臨床試験済み」 | 何の試験か、誰が行ったかが分からなければ判断できない |
| 体験談・ビフォーアフター | 個人の感想。自分にも同じ変化が起きるとは限らない |
| 「医師もすすめる」 | 医師の推せんをうたう広告は、事実でも不適当とされている |
| 「副作用の心配なし」 | 安全を保証する表現として認められていない |
景品表示法では、消費者庁が、効果をうたう表示の裏付けとなる合理的な根拠を示す資料の提出を求めることができます。出せなければ、不当な表示とみなされる仕組みです。
『じゃあ、広告の数字は全部うそなの?』と思うかもしれません。そうではなく、広告は「選ぶきっかけ」と割り切って、根拠は外箱の効能・効果と添付文書で確かめる、と考えると楽になりますよ。
体験談や「医師もすすめる」が根拠にならない理由
同じ解説では、愛用者の感謝の言葉や「私も使っています」のような体験談は、客観的な裏付けにはなりえず、かえって効能効果や安全性について誤解を与えるおそれがある、とされています。
医師や薬剤師などが推せんしているという広告も、たとえ事実であっても不適当とされています。『お医者さんが言うなら安心』と感じやすいからこそ、決まりで線が引かれているんですね。
例えば「皮膚科医も愛用」と書かれた広告を見たら、その言葉はいったん脇に置いてみてください。そのうえで、外箱の効能・効果と使用上の注意を読む、という順番がおすすめです。
自分でエビデンスを確かめる手順
ここまでの話を、実際に確かめる時の手順にまとめておきます。
- 外箱か商品ページで、区分(医薬部外品・医薬品・化粧品)を見る
- 医薬部外品なら、効能・効果と有効成分を書き出す
- 医薬品なら、PMDAのサイトで販売名を入れて添付文書を読む
- 有効成分の名前が診療ガイドラインに出てくるかを見る(あくまで参考)
- 広告の数字や体験談は、効能・効果の表示と分けて考える
- 迷ったら、成分のメモを持って薬剤師か皮膚科で相談する
例えば、薬用育毛剤の外箱に「脱毛の予防、育毛」と書かれていれば、それが承認された効能・効果です。広告に書かれた言葉がそれより強ければ、外箱のほうを基準にしておくと安心です。
使い始めてからは、自分の記録もひとつの手がかりになります。抜け毛の量や頭皮の様子を、同じ条件で写真に残しておくと、変化を感じにくい時に振り返りやすいですよ。続ける期間の目安は使い始めてからの期間の記事にまとめています。
エビデンスの話で出てくる言葉
ガイドラインや添付文書には、ふだん聞きなれない言葉が出てきます。よく見かける言葉を短くまとめておきますね。
| 言葉 | 意味 |
|---|---|
| エビデンス | 研究や試験で確かめられた根拠のこと |
| ランダム化比較試験 | 参加者をくじ引きのように分けて、使う群と使わない群を比べる試験 |
| プラセボ(偽薬) | 有効成分を含まない見た目が同じ物。比べるために使う |
| 症例報告・症例集積 | 実際に使った人の経過をまとめた報告 |
| システマティック・レビュー | 同じテーマの研究を集めて、まとめて評価したもの |
| 推奨度 | ガイドラインが示す「勧める強さ」。AからDまである |
| 添付文書 | 医薬品の効能・効果、使い方、注意をまとめた文書 |
| 承認 | 医薬品や医薬部外品を、品目ごとに国が認めること |
言葉の意味が分かると、広告に出てくる「試験済み」の受け止め方も変わってきますよ。
よくある質問
育毛剤にエビデンスはないのですか?
医薬部外品の育毛剤は、品目ごとに承認を受けた範囲の効能・効果を表示しています。成分によっては、日本皮膚科学会の診療ガイドラインで評価されている物もあります。ただ、効き方には個人差があります。
発毛剤のエビデンスは育毛剤より強いのですか?
発毛剤は医薬品として承認されていて、添付文書に効能・効果や注意が書かれています。ただ、使えない人の条件も細かく決まっているので、購入時に薬剤師へ相談してください。
ガイドラインで推奨度が高い成分の商品を選べば間違いないですか?
推奨度は試験の条件での成分の評価で、商品の評価ではありません。配合の仕方は商品ごとに違うので、医師と相談する時の手がかりとして使ってください。
広告の「臨床試験済み」は信じていいですか?
試験の内容が分からなければ判断できません。一般向けの広告では臨床データの例示は原則として行わないこととされているので、外箱の効能・効果を基準にしてみてください。
化粧品の頭皮用ローションにエビデンスはありますか?
化粧品が表示できる効能は決められた56項目の範囲で、育毛をうたうことはできません。頭皮をすこやかに保つ、ふけ・かゆみを抑える、などの範囲で選んでください。
添付文書はどこで読めますか?
一般用医薬品の添付文書は、PMDAのウェブサイトで販売名を入れて探せます。お店で薬剤師に見せてもらうこともできます。
まとめ
- 育毛剤のエビデンスは、区分によって確かめる場所が違う
- 医薬部外品は承認を受けた効能・効果の表示、医薬品は添付文書を見る
- 日本皮膚科学会の診療ガイドラインは成分や治療ごとの推奨度を示した医療者向けの資料
- 推奨度は商品の評価ではない。医師と話す時の手がかりにする
- 広告の数字や体験談は根拠の代わりにならない。迷ったら薬剤師・皮膚科へ
根拠の話から一歩戻って、育毛剤の基本を知りたい方は育毛剤の基本の記事へ。





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