抗がん剤治療後に発毛剤は使える?主治医に聞くことと使う前の確認

窓辺のテーブルに置かれたノートとペンとたたんだ帽子

当サイトの記事は、編集部が公的機関・各メーカーの公式サイトで公開されている情報を調べて独自に執筆しています。

抗がん剤の治療が一段落して、『髪を早く取り戻したい。市販の発毛剤を使ってもいいのかな』と考えていませんか。

結論から言うと、抗がん剤治療のあとに発毛剤を使うかどうかは、自分で決めずに主治医に相談してからにしてください。市販の発毛剤は「壮年性脱毛症」に使う医薬品で、添付文書にはそれ以外の脱毛の人は使わないよう書かれているんです。

この記事では、抗がん剤と発毛剤の関係、主治医に聞くことのリスト、使う前に確かめたいことを紹介します。

目次

抗がん剤治療後に発毛剤は使える?先に答え

先に結論
  • 発毛剤を使うかどうかは、主治医に相談してから決める
  • 市販の発毛剤の効能・効果は「壮年性脱毛症における発毛、育毛及び脱毛(抜け毛)の進行予防」と書かれている
  • 添付文書では、壮年性脱毛症以外の脱毛症や原因のわからない脱毛症の人は使用しないとされている
  • 国立がん研究センターは、がん治療による脱毛の予防や発毛を促す効果が十分に確認された製品はないと案内している

『少しでも早く髪を戻したい』という気持ちは、とても自然なことです。この記事は、その気持ちを止めるためではなく、遠回りしないために書いています。

国立がん研究センターのがん情報サービスでは、2025年3月現在、がんの治療による脱毛の予防や発毛を促す効果が十分に確認された製品はないとしています。だからこそ、自己判断で薬を足す前に、治療のことを一番よく知っている主治医に聞くのが近道なんです。

髪が戻るまでの経過そのものは、抗がん剤治療後の発毛の経過の記事で紹介しています。

「発毛剤」と「育毛剤」はまったく別の物

言葉が似ているので、ここで一度見比べておきましょう。

呼び方区分買う時
発毛剤第1類医薬品(ミノキシジル配合の物が多い)薬剤師から書面で説明を受けて買う
薬用育毛剤医薬部外品ドラッグストア・通販で買える
頭皮用ローション・トニック化粧品のことが多いどこでも買える

この記事で主に扱うのは、一番上の発毛剤です。育毛剤の話は、後半で少しだけ触れます。

発毛剤の添付文書には何が書かれている?

市販の発毛剤には、添付文書(説明書)が付いています。ミノキシジル配合の発毛剤の添付文書を例に、抗がん剤治療を受けた方が特に読んでおきたい所を表にしました。

添付文書の項目書かれていること治療後の方が気にしたい点
効能・効果壮年性脱毛症における発毛、育毛及び脱毛(抜け毛)の進行予防治療による脱毛が対象に入るかは、自分では決められない
使用しない人壮年性脱毛症以外の脱毛症の人、原因のわからない脱毛症の人まず主治医に確かめたい
使用しない人脱毛が急激であったり、髪が斑状に抜けている人治療中・治療直後の抜け方と重なりやすい
使用しない部位きず、湿疹あるいは炎症(発赤)等がある頭皮頭皮の荒れが残っていないか
相談すること高血圧・低血圧の人、心臓又は腎臓に障害のある人、むくみのある人 など治療中の持病や体の状態を伝える
併用他の育毛剤及び外用剤の頭皮への使用はさける頭皮に薬をもらっていないか

添付文書では、壮年性脱毛症以外の脱毛症の例として、円形脱毛症や甲状腺疾患による脱毛が挙げられています。「本剤は壮年性脱毛症でのみ有効です」という一文もあるんです。

年齢と性別の条件もある

男性用の発毛剤は、成人男性(20歳以上)が使う物で、女性や20歳未満の人は使わないと書かれています。女性用の発毛剤は別の製品として売られていて、こちらも成人女性(20歳以上)が対象です。

高齢者(65歳以上)は、使う前に医師か薬剤師に相談する人に入っています。年齢の条件も、主治医と話す時の材料になりますよ。

気をつけたいこと

発毛剤は、量を増やしたり回数を増やしたりしても、効果はあがらないと添付文書に書かれています。早く戻したい気持ちが強い時ほど、決められた使い方を守ってください。

主治医に聞くことリスト

『忙しそうな先生に、髪のことを聞いていいのかな』とためらう方も多いはずです。でも、見た目の悩みも治療中・治療後の大切な相談ごとです。

聞くことを先にメモしておくと、短い診察時間でも伝えやすくなります。

主治医に聞くことリスト
  • 市販の発毛剤を使ってもいい時期か
  • 今の脱毛は、発毛剤の対象(壮年性脱毛症)と考えてよいか
  • 今飲んでいる薬・続けている治療と一緒に使って問題ないか
  • 血圧や心臓・腎臓のことで気をつける点はないか
  • 頭皮に塗ってよい状態か(赤み・かゆみ・きずがないか)
  • 発毛剤ではなく、まず頭皮のケアから始めたほうがいいか

伝え方の例

いきなり「発毛剤を使いたいです」と言いにくい時は、こんなふうに切り出してみてください。

「髪のことで相談があるんですが、少しいいですか」
「市販の発毛剤が気になっていて、今の体の状態で使っていいか知りたいです」

使いたい製品の名前が決まっているなら、箱や商品ページの写真を見せると話が早いです。有効成分や添付文書を一緒に見てもらえますよ。

治療の段階で聞くことは変わる

同じ「抗がん剤のあと」でも、今どの段階にいるかで聞きたいことは変わります。

今の段階主治医に特に聞きたいこと自分でしておきたいこと
治療中頭皮に何かを塗ってよいかやさしく洗う・こすらない
治療が終わったばかり発毛剤を考えてよい時期か抜け方・生え方のメモをつける
経過観察中今の脱毛が治療と関係するか気になる変化を次の受診で伝える
飲み薬などの治療が続いている一緒に使ってよいかお薬手帳を持っていく

主治医に聞きにくい時は、看護師や病院の薬剤師に先に相談するのもいい方法です。

聞きそびれてしまった時は

診察が終わってから『発毛剤のこと、聞き忘れた』と気づくこともありますよね。そんな時は、次の受診まで発毛剤は始めずに待つのが安心です。

待っている間は、やさしく洗う・こすらずに乾かすなど、頭皮に負担をかけないケアを続けておきましょう。病院によっては、電話で看護師に相談できる窓口を案内していることもあります。

主治医の了承が出たら、使う前に確かめたいこと

主治医から「使ってみてもいい」と言われたら、次は買う時と使い始めの確認です。第1類医薬品は、ここにも決まりがあります。

発毛剤を使い始めるまでの流れ
  1. 主治医に使ってよいと言われたことをメモしておく
  2. 薬剤師のいるお店か、薬剤師が確認する通販で買う
  3. 薬剤師に、治療歴・飲んでいる薬・主治医の了承を伝える
  4. 添付文書の「使用しない人」「相談すること」を自分でも読む
  5. 頭皮にきずや赤みがない日に、決められた量から使い始める
  6. 体調や頭皮の変化をメモし、次の受診で主治医に伝える

法律では、第1類医薬品を売る時、薬剤師は使う人の年齢やほかの薬の使用状況などを確かめたうえで、書面で必要な情報を伝えることになっています。治療のことは、ためらわずに薬剤師にも話してくださいね。

薬剤師に伝えておきたいこと

伝えること理由
抗がん剤治療を受けたこと・時期脱毛の原因を考える材料になる
今飲んでいる薬・塗っている薬併用してよいかを確かめる
血圧・心臓・腎臓・むくみのこと添付文書で相談の対象になっている
主治医の了承をもらったこと薬剤師が状況をつかみやすい
薬や化粧品で肌が荒れたことがあるかアレルギーを確かめるため

使い始めてから中止・相談したいサイン

添付文書には、使ったあとに頭皮の発疹・かゆみ・かぶれ、頭痛、めまい、胸の痛み、心拍が速くなる、急な体重増加、手足のむくみなどが出た時は、直ちに使用を中止して医師か薬剤師に相談するよう書かれています。

使い始めて6か月以内でも、脱毛の悪化や斑状の脱毛、急激な脱毛が見られた時は、使うのをやめて相談するよう書かれています。治療後の方は、主治医にも一緒に伝えておきましょう。

育毛剤(医薬部外品)なら使っていい?

『発毛剤がだめなら、育毛剤ならいいのかな』と考える方もいますよね。医薬部外品の育毛剤に表示できる効能の範囲には、「病後・産後の脱毛」という言葉も入っています。

ただ、これは「どんな治療のあとでも使ってよい」という意味ではありません。治療後の頭皮は敏感になっていることもあるので、育毛剤も先に主治医に聞いておくと安心です。

主治医に相談したうえで考えたいこと
  • 頭皮をやさしく洗う・乾かす毎日のケア
  • 医薬部外品の育毛剤を、了承を得てから少しずつ
  • ウィッグや帽子で見た目の不安を軽くする
自己判断で避けたいこと
  • 発毛剤を量や回数を増やして使う
  • 発毛剤と育毛剤を重ねて塗る
  • 海外の医薬品を取り寄せて使う

育毛剤の選び方を主治医と相談しながら考えたい方は、抗がん剤治療後の育毛剤の選び方の記事も参考にしてください。育毛剤とは何かは、育毛剤とは何かをまとめた記事で紹介しています。

家族が発毛剤をすすめてきた時は

家族やまわりの人が、心配して発毛剤を買ってきてくれることもありますよね。気持ちはありがたい一方で、『使わないと悪いかな』と感じてしまう方もいるはずです。

そんな時は、「主治医に聞いてから使うね」と伝えれば十分です。箱を受診の時に持っていけば、先生にも相談しやすくなりますよ。

「ありがとう。先生にこれを使っていいか聞いてみるね」
「使っていいって言われたら、一緒に説明書を読んでくれる?」

家族と一緒に添付文書を読むと、使えない人の条件や使い方の決まりを共有できて安心です。

海外の発毛剤を取り寄せない

ネットで海外の発毛剤を見かけることがあるかもしれません。厚生労働省によると、個人輸入の医薬品は国内の法律に基づく確認を受けておらず、偽造製品のおそれもあります。

個人輸入した物で健康被害が出ても、医薬品副作用被害救済制度の対象外です。治療後の体だからこそ、避けておきましょう。

育毛剤えらび

買う前に、育毛剤の選び方を確認

医薬部外品の育毛剤・医薬品の発毛剤・頭皮用化粧品の違いと、成分・使い心地・続けやすさ・買い方から自分に合う1本を選ぶ時に見ておきたいポイントをまとめました。

無料育毛剤の選び方を見る

抗がん剤と発毛でよくある思い込み

不安な時ほど、ネットの言葉に引っぱられやすいですよね。よく見かける思い込みを、添付文書や公的な案内に書かれていることと並べてみました。

よくある思い込み書かれていること
発毛剤を使えば早く戻るがん治療による脱毛の発毛を促す効果が十分に確認された製品はない(2025年3月現在)
たくさん塗れば効きやすい多量・頻繁に使っても効果はあがらない
1か月で変化が分かる効果がわかるまで少なくとも4か月、毎日使用と書かれている
一度生えればやめてよい使用を中止すると徐々に元に戻ると書かれている
誰にでも合う本剤は誰にでも効果があるわけではないと書かれている

右の列は、発毛剤の添付文書と国立がん研究センターの案内に書かれている内容です。期待しすぎず、主治医と一緒に考えるのが一番の近道ですよ。

「髪が戻らないかも」と不安になった時

がん情報サービスの案内によると、薬物療法による脱毛は、治療が終わると再び生え始めるとされています。ただ、戻り方には個人差があり、不安になる日もありますよね。

不安が強い時は、一人で抱えずに相談先を頼ってください。気持ちの面の相談も受け付けている窓口があります。

発毛をうたう広告を見た時の読み方

治療が終わったころは、髪に関する広告がやけに目に入りますよね。『これなら早く戻るかも』と心が動いた時こそ、一度立ち止まって読み方を確かめておきましょう。

医薬品や医薬部外品の広告には、国の基準があります。例えば、効き目が確実だと保証する表現や、「副作用が少ない」「刺激が少ない」のように安全性を誤解させる表現は使わないことになっています。

広告で見かける言い方どう受け止めるか
「確実に」「すぐ効く」効き目や速さの保証は、医薬品等の広告では認められていない
「副作用の心配はない」安全性を保証する表現は認められていない
「私も使っています」などの体験談一部の例外を除き、効能の裏付けにはならないとされている
「医師が推薦」推せんの広告は、事実でも不適当とされている
「がん治療後の方にも」自分に当てはまるかは主治医に聞く

広告の言葉が気になったら、その商品の添付文書や区分の表示を見てから、主治医か薬剤師に相談してみてください。

通販で買う時に確かめたいこと

ネット通販でも、第1類医薬品は薬剤師が確かめてから売る決まりです。正しい販売サイトかどうかは、厚生労働省の「一般用医薬品の販売サイト一覧」で調べられます。

定期購入の形で申し込む時は、最終確認画面で2回目以降の代金や解約の条件を確かめておきましょう。治療後で通院の予定が変わりやすい時期は、まとめて申し込まないほうが気持ちも楽ですよ。

申し込む前のチェック
  • 主治医の了承をもらっている
  • 厚生労働省の販売サイト一覧で、そのサイトを見つけられた
  • 薬剤師の確認があることが案内されている
  • 最終確認画面で回数・代金・解約の方法を確かめた

抗がん剤と発毛の悩みを相談できる場所

髪のことは、どこに相談したらいいか分かりにくいですよね。相談先をまとめておきます。

相談先相談できることポイント
主治医発毛剤・育毛剤を使ってよいか一番最初に聞きたい相手
看護師・病院の薬剤師頭皮のケアや塗る物のこと診察の前後で聞きやすい
がん相談支援センター脱毛や見た目の悩み、生活のことその病院にかかっていなくても無料で相談できる
アピアランス支援を行う部門見た目の変化のつらさ・不安医療機関によってある
ドラッグストアの薬剤師発毛剤の添付文書の読み方治療歴を伝えて相談する

がん相談支援センターは、全国のがん診療連携拠点病院などにある相談の窓口です。国立がん研究センター中央病院のアピアランス支援センターのように、見た目の変化のつらさや不安の相談に応じる部門を置く医療機関もあります。

ウィッグや帽子など、治療中からの準備は抗がん剤治療の抜け毛対策の記事で紹介しています。

発毛の話で出てくる言葉

言葉意味
添付文書医薬品の説明書。使い方や使用上の注意が書かれている
壮年性脱毛症市販の発毛剤が効能の対象としている脱毛
第1類医薬品買う時に薬剤師から書面で説明を受ける医薬品
ミノキシジル市販の発毛剤の有効成分として配合されている成分
外用剤皮膚に塗る薬。発毛剤もこれにあたる
がん相談支援センターがんに関する相談を無料で受ける窓口

よくある質問

抗がん剤治療が終わったら、市販の発毛剤を使ってもいいですか?

自分で決めずに主治医に相談してください。市販の発毛剤は壮年性脱毛症に使う医薬品で、添付文書ではそれ以外の脱毛症や原因のわからない脱毛症の人は使わないとされています。

発毛剤を使えば、抗がん剤で抜けた髪は早く戻りますか?

国立がん研究センターは、2025年3月現在、がん治療による脱毛の予防や発毛を促す効果が十分に確認された製品はないと案内しています。早く戻ると約束できる物はありません。

女性も発毛剤を使えますか?

男性用の発毛剤は女性は使わないと書かれていて、女性用は別の製品です。どちらの場合も、治療を受けた方は先に主治医に相談してください。

治療後、発毛剤と育毛剤を両方使ってもいいですか?

ミノキシジル配合の発毛剤の添付文書には、ほかの育毛剤や外用剤の頭皮への使用をさけるよう書かれています。自分で重ねず、主治医か薬剤師に相談してください。

主治医に髪のことを聞くのは気が引けます。

見た目の悩みも大切な相談ごとです。聞きたいことをメモして渡したり、看護師や病院の薬剤師、がん相談支援センターに先に相談したりする方法もあります。

発毛剤を使っていて、めまいや動悸が出たらどうすればいいですか?

直ちに使うのをやめて、説明書を持って医師か薬剤師に相談してください。治療後の方は主治医にも伝えておきましょう。

まとめ

この記事の要点
  • 抗がん剤治療後に発毛剤を使うかどうかは、主治医に相談してから決める
  • 市販の発毛剤は壮年性脱毛症に使う医薬品で、それ以外の脱毛症の人は使用しないと書かれている
  • 主治医には、使ってよい時期・今の脱毛・飲んでいる薬・体の状態を聞く
  • 了承が出たら、薬剤師に治療歴を伝え、添付文書の決まりを守って使う
  • 不安な時は、がん相談支援センターなどの窓口も頼れる
育毛剤えらび

育毛剤えらび 編集部

抜け毛や髪のボリュームが気になり始めた方に向けて、育毛剤(医薬部外品)・発毛剤(医薬品)・頭皮用化粧品の違い、成分と選び方、正しい使い方と続け方、市販と通販の買い方、定期購入の確かめ方をまとめている情報サイトです。 公式サイト

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