抜け毛対策で「幹細胞」と書かれた商品は?表示の意味と選ぶ前の確認

幹細胞と書かれた頭皮用品の表示を確かめるイメージ

当サイトの記事は、編集部が公的機関・各メーカーの公式サイトで公開されている情報を調べて独自に執筆しています。

頭皮用品の広告で「幹細胞」という言葉を見かけて、『なんだかすごそう。抜け毛に効くのかな?』と気になっていませんか。医療や研究のニュースでもよく聞く言葉なので、期待してしまいますよね。

結論から言うと、抜け毛対策の商品にある「幹細胞」は、多くの場合、化粧品の原料として使われる幹細胞の培養液の名前です。医療機関で行う再生医療とは別のもので、化粧品で表示できる効能の範囲も決まっています。この記事では、表示の意味と広告の読み方、選ぶ前に確かめることをお話しします。

目次

抜け毛対策で「幹細胞」と書かれた商品は?先に答え

先に答え
  • 商品の「幹細胞」は、培養液など原料の名前として書かれていることが多い
  • 幹細胞の原料が入っていても、化粧品なら化粧品の効能の範囲まで
  • 再生医療は、法律で決められた手続きを経て医療機関が行う医療で、別の話
  • 研究ニュースは、すぐ使える商品の話とは限らない
  • 選ぶ時は「幹細胞」の言葉より、区分・有効成分・使用上の注意を見る

『幹細胞って書いてあるなら、普通の育毛剤より上なのでは』と思う方もいるはずです。ただ、商品の区分を決めるのは言葉の印象ではなく、外箱の表示なんです。まず区分を見るくせをつけると、広告の言葉に流されにくくなります。

見かける言葉まず考えたいこと
「幹細胞配合」全成分のどの原料のことか
「幹細胞の力で」化粧品の効能の範囲を超えていないか
「再生医療の技術から生まれた」医療と商品が別物であることを分けて読む
「大学との共同研究」広告での表現として認められていない書き方

ヒト幹細胞の頭皮用品でどこまで期待できるかは、ヒト幹細胞の育毛剤の効果の記事にまとめています。この記事では、表示と広告の読み方に絞ってお話ししますね。

「幹細胞」という言葉が出てくる3つの場面

「幹細胞」という言葉は、場面によって指しているものが違います。ここを混ぜてしまうと、商品に期待しすぎる原因になりやすいんです。

場面何のこと?誰が扱う?
化粧品・頭皮用品の成分幹細胞を培養した時の液(培養液)などの原料化粧品などのメーカー
研究のニュース毛包の幹細胞のしくみや、髪の再生の研究大学・研究所
医療機関の再生医療細胞などを使う医療法律の手続きをした医療機関

皮膚科Q&Aによると、髪を作る毛包の中にはもともと幹細胞があるそうです。もともと体の中にある幹細胞の話と、商品の原料の話は、まったく別のものと考えておきましょう。

同じ言葉でも中身が違う

「幹細胞」と聞くと、細胞そのものが入っているように感じますよね。でも、頭皮用品の全成分に書かれているのは、多くが培養液の名前です。細胞が頭皮で増えるという意味ではありません。

全成分にある「幹細胞」の表示はどう読む?

化粧品の頭皮用品では、幹細胞に関係する原料は全成分表示の中に書かれています。由来ごとに名前が違うので、どれも同じものと思わないようにしましょう。

全成分での名前の例名前から分かること
ヒト脂肪細胞順化培養液ヒトの脂肪由来の細胞を培養した液
ヒト臍帯間葉系幹細胞順化培養液ヒトの臍帯(へその緒)由来の幹細胞を培養した液
ヒトプラセンタ幹細胞順化培養液ヒトの胎盤由来の幹細胞を培養した液
ヒト幹細胞順化培養液ヒトの幹細胞を培養した液(由来は商品ごとに確かめる)

全成分は、基本的に配合量の多い順に並んでいます。幹細胞の原料が何番目に書かれているかを見ると、その商品の中での位置づけが少し見えてきますね。

全成分で確かめる手順
  1. 外箱か商品ページで「医薬部外品」の表示があるかを見る
  2. 表示が無ければ化粧品として、全成分の欄を開く
  3. 「幹細胞」「順化培養液」を含む名前を探す
  4. 何番目に書かれているか、ほかにどんな成分があるかを見る
  5. 使い方と使用上の注意を読む

化粧品の効能の範囲はどこまで?

化粧品が表示できる効能は、厚生労働省の通知で項目が決まっています。そのうち頭皮や髪に関係するのは「頭皮、毛髪をすこやかに保つ」「頭皮、毛髪にうるおいを与える」「毛髪にはり、こしを与える」「フケ、カユミを抑える」などです。

東京都が出している広告の講習会資料にも、化粧品で育毛を標ぼうすることはできないと書かれています。幹細胞の原料が入っていても、化粧品であれば、この範囲を超える効能は表示できないんです。

外箱で区分を見分けるコツ

医薬部外品の頭皮用品は、外箱に「医薬部外品」と書かれ、有効成分とその他の成分が分けて表示されているのがふつうです。化粧品は区分の表示がなく、全成分がまとめて並んでいます。

『どっちか分からない』という時は、商品ページの「区分」や「効能・効果」の欄も見てみましょう。それでも分からなければ、販売元のお客様窓口に問い合わせて確かめるのが確実です。

再生医療は、法律で手続きが決められた医療

『じゃあ、医療機関で受ける幹細胞の治療はどうなの?』と気になる方もいますよね。再生医療は、商品を買って使うものとは別の、医療機関で行う医療です。

厚生労働省によると、「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」は2014年11月に施行され、再生医療等を行う医療機関は事前に手続きをする必要があります。手続きをせずに行うと法律違反となり、罰則の対象になるとされています。

化粧品の頭皮用品
  • 店や通販で買って、自分で使う
  • 全成分に培養液などの原料名が書かれる
  • 効能は化粧品の範囲(うるおい・すこやかに保つ 等)
医療機関の再生医療
  • 医師が行う医療で、自分で使うものではない
  • 医療機関は法律に基づく手続きが必要
  • 内容・費用・リスクは医療機関の説明で確かめる

e-再生医療という厚生労働省のサイトでは、再生医療等を提供する医療機関の一覧が公開されています。医療機関で再生医療の話を聞く時は、手続きをしている医療機関かを確かめる手がかりになりますよ。

培養上清液を使う医療についての注意

厚生労働省は令和6年7月の事務連絡で、ヒトの幹細胞の培養上清液やエクソソーム等を使う医療について、現時点で有効性・安全性が示されて薬事承認を得て製造販売されている医薬品はない、と医療機関に周知しています。実施する医師の責任のもとで、特に安全性に注意する必要があるとされています。

医療機関ですすめられた時は、その場で決めずに、内容・リスク・ほかの方法の説明を受けてから考えましょう。

説明を受ける時のメモ

医療機関で説明を聞く時は、次のことをメモしておくと、家に帰ってから落ち着いて考えられます。

説明の時に書き留めたいこと
  • どんな物を、どこに、どのくらいの間使うのか
  • 期待できることと、リスク・副作用
  • ほかにどんな方法があるか
  • 費用の内訳と、続ける場合の回数
  • やめたい時の手続き

厚生労働省は美容医療の施術を受ける前の確認として、「その美容医療は『今すぐ』必要ですか?」という問いも挙げています。迷う時は、いったん持ち帰って家族と話してみてくださいね。

研究ニュースはどう読む?

髪の再生の研究は、ニュースで取り上げられることもありますよね。たとえば理化学研究所は2026年2月、成体の毛包の3種類の幹細胞から、生体外で毛包を再生したという研究成果を発表しています。

ただ、この発表では脱毛症の治療への応用に期待するとされていて、実用化の時期や商品化については書かれていません。研究の成果と、今お店で売られている頭皮用品は、つながっていないことがほとんどなんです。

ニュースの言葉読み方のコツ
「〜に成功」どんな条件(マウス・生体外など)での話か
「応用に期待」まだ実用化の段階ではないことが多い
「非臨床試験」人で試す前の段階
「臨床研究」人で調べている段階。商品とは別
ニュースと商品を結びつけない

「最新の研究で話題の幹細胞」と商品をつなげる広告を見かけたら、一度立ち止まってみてください。研究の話と、その商品の効能は、別々に確かめる必要があります。

SNSや動画で見かけた時は

SNSや動画では、「幹細胞で頭皮が若返る」のような強い言い方を見かけることもありますよね。広告なのに広告と分からないようにした表示(ステルスマーケティング)は、令和5年10月1日から景品表示法で禁止される不当表示になりました。

紹介している人が広告として発信しているのか、どこが販売しているのかを確かめてから読みましょう。気になる商品は、最後は公式の商品ページで区分と全成分を見るのがおすすめです。

広告の表示を読むチェック

日本化粧品工業連合会の「化粧品等の適正広告ガイドライン」では、細胞レベルの働きをうたう表現は化粧品の効能の範囲を超えるとして行わないこととされています。そのガイドラインには、だめな例として「幹細胞コスメ」「細胞由来の力」といった言い方がはっきり載っているんです。

同じガイドラインでは、「〇〇大学との共同研究から生まれた成分」のような表現や、特許をうたう表現も、化粧品等の広告では認められないとされています。こうした言葉が目立つ広告は、内容を落ち着いて確かめたいところですね。

広告を見た時のチェック
  • 「幹細胞の力で髪を育てる」など、化粧品の範囲を超える言い方がないか
  • 研究機関や大学の名前で、効き目を保証するように見せていないか
  • 使用前後の写真や体験談で、効果を約束するように見せていないか
  • 外箱・商品ページで、区分(医薬部外品か化粧品か)が分かるか
  • 販売元の会社名・連絡先が書かれているか
広告の言い方確かめたいこと
「幹細胞が頭皮に働きかける」化粧品なら効能の範囲を超えていないか
「再生医療レベルのケア」医療と商品は別物と分けて読む
「〇〇研究所と共同開発」研究の話と商品の効能は別に確かめる
「満足の声が多数」体験談は効能の裏付けにならない

「医薬部外品」の頭皮用品に幹細胞の原料が入っている時

医薬部外品の育毛剤に、幹細胞の培養液が「その他の成分」として入っている場合もあります。この時、育毛や脱毛の予防などの効能は、有効成分によって認められているものです。

培養液が効能のもとだと読めるような書き方には注意しましょう。効能を確かめる時は、有効成分の欄と、表示されている効能・効果を見るのが確実です。

「幹細胞」の商品選びでよくある失敗

『よく調べずに買って、あとで後悔した』とならないように、よくある失敗も先に知っておきましょう。

よくある失敗防ぎ方
「幹細胞」の言葉だけで、育毛剤だと思って買った外箱の区分と効能・効果を確かめる
研究ニュースの技術が入っていると思いこんだニュースと商品は分けて読む
お試しのつもりが定期購入だった最終確認画面で回数と解約方法を確かめる
いくつもの頭皮用品を一度に使い始めた1つずつ試して、肌の様子を見る
頭皮に赤みが出ても使い続けたすぐにやめて皮膚科などで相談する
「お得」より条件を先に見る

通販で「今だけ」「お得」の案内が出ても、すぐに申し込まないでください。国民生活センターは、最終確認画面で定期購入の条件を確かめ、画面を保存しておくよう呼びかけています。

使い始めは少しずつ

新しい頭皮用品を使う時は、まず少量から始めて、頭皮の様子を見ておきましょう。初めの数日は、ほかの新しい物を一緒に使い始めない方が、合わない時に原因が分かりやすくなります。

使った日と頭皮の様子をメモしておくのもおすすめです。「何となく合わない気がする」という感覚も、書いておけば相談の時に伝えやすくなりますよ。

選ぶ前に確かめること・抜け毛対策の基本

幹細胞の言葉に惹かれても、選ぶ時の基本はほかの頭皮用品と同じです。区分・成分・使い方・買い方を、順番に確かめていきましょう。

選ぶ前のチェック
  • 区分は医薬部外品か化粧品か
  • 医薬部外品なら、有効成分と効能・効果は何か
  • 全成分で、幹細胞の原料の名前と順番を確かめたか
  • 頭皮に傷・赤み・湿疹がないか。初めは少量で様子を見るか
  • 定期購入の条件と解約方法を、最終確認画面で確かめたか

妊娠中・授乳中・産後の方、持病がある方、頭皮の治療中の方は、使う前に医師や薬剤師に相談してください。かゆみ・赤み・刺激が出た時は使うのをやめ、商品を持って皮膚科などで相談しましょう。

抜け毛そのものが気になる時は、商品を選ぶ前に皮膚科で相談するのも一つの方法です。気になる抜け毛は皮膚科などで相談して対策を知ることが大切、という考え方は日本皮膚科学会も示しています。

区分ごとの違いをもう一度見ておきたい方は育毛剤の基本の記事へ。「エクソソーム」と書かれた頭皮用品が気になる方はエクソソームの表示の記事も読んでみてください。

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この記事に出てきた言葉

言葉ひと言でいうと
幹細胞いろいろな細胞のもとになったり、自分を増やしたりできる細胞
順化培養液細胞を培養した時の液。全成分での原料名に使われる
毛包髪の根元を包んでいる組織
再生医療細胞などを使う医療。法律で手続きが決められている
e-再生医療再生医療等の手続きのための厚労省のサイト
全成分表示化粧品の外箱などに書かれる、配合成分の一覧

よくある質問

幹細胞と書かれた頭皮用品は、抜け毛に効きますか?

化粧品であれば、頭皮や髪をすこやかに保つ・うるおいを与えるなど化粧品の効能の範囲までです。抜け毛が減ると決まったわけではないので、区分と表示されている効能を確かめましょう。

商品に幹細胞そのものが入っているのですか?

全成分に書かれているのは、多くが「〜幹細胞順化培養液」などの培養液の名前です。細胞が頭皮で増えるという意味ではありません。

再生医療と、幹細胞入りの頭皮用品は同じですか?

別のものです。再生医療は、法律に基づく手続きをした医療機関が行う医療で、頭皮用品は自分で使う化粧品などの商品です。

「幹細胞コスメ」という広告はおかしいのですか?

化粧品等の適正広告ガイドラインでは、「幹細胞コスメ」は認められない表現の例として挙げられています。言葉の印象ではなく、外箱の区分と全成分で確かめてください。

研究のニュースで見た技術は、もう商品になっていますか?

研究の発表では、実用化の時期や商品化が書かれていないことが多いです。ニュースと店頭の商品は、分けて考えましょう。

医療機関で幹細胞の培養上清液の治療をすすめられました。

厚生労働省は、培養上清液などを使う医療で薬事承認を得た医薬品はないと医療機関に周知しています。その場で決めず、内容・リスク・ほかの方法の説明を受けてから考えてください。

まとめ

この記事の要点
  • 商品の「幹細胞」は、培養液など原料の名前のことが多い
  • 化粧品なら、効能は化粧品の範囲まで。育毛はうたえない
  • 再生医療は法律で手続きが決められた医療で、商品とは別
  • 研究ニュースと店頭の商品は分けて読む
  • 選ぶ時は区分・有効成分・全成分・使用上の注意・定期の条件を確かめる

「幹細胞」という言葉は、それだけで特別な物に見えてしまいますよね。でも、表示の読み方が分かれば、落ち着いて選べるようになります。気になる商品があったら、まず外箱の区分から見てみてくださいね。

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