抗がん剤の脱毛に育毛剤は使える?外見の相談窓口と主治医に聞くこと

窓辺のテーブルに置かれたニット帽とノートとペン

当サイトの記事は、編集部が公的機関・各メーカーの公式サイトで公開されている情報を調べて独自に執筆しています。

抗がん剤の治療が始まって髪が抜けてきた時、『何か塗れば少しでも抑えられるのでは』と育毛剤が気になる方も多いはずです。見た目が変わっていくのは、本当につらいことですよね。

結論から言うと、抗がん剤による脱毛を防げると確かめられた育毛剤は、今のところありません。使いたい時は、まず主治医に相談するのが先です。そして、外見の悩みそのものは、病院の相談窓口で話してかまわないんです。

この記事を読むと、公的な情報で育毛剤がどう扱われているかと、外見の相談窓口の使い分け、主治医に聞くことのメモの作り方が分かります。

目次

抗がん剤の脱毛に育毛剤は使える?先に答え

先に結論
  • がんの治療による脱毛を防いだり、髪が戻るのを早めたりする効果が十分に確かめられた製品は、今のところない
  • 育毛剤を使いたい時は、自己判断で始めずに主治医に相談する
  • 見た目の変化のつらさは、がん相談支援センターなどで相談できる(アピアランスケア)
  • 相談の前に、聞きたいことをメモにしておくと話しやすい

『治療のことで手一杯なのに、髪の話なんてしていいのかな』と遠慮してしまう方もいるかもしれません。でも、外見の変化への支援は、がんの治療と並んで国の計画にも入っている大切なケアなんです。

まずは、気になっていることごとに、答えと相談先を見ておきましょう。

気になっていること答え最初の相談先
育毛剤で抜けるのを防げる?防げると確かめられた物は今のところない主治医・看護師
治療中に育毛剤を塗ってもいい?治療の内容や頭皮の状態で変わるので、先に相談主治医・薬剤師
見た目が変わるのがつらい外見の悩みとして相談できるがん相談支援センター
ウィッグや帽子の選び方が分からない病院の相談窓口や、アピアランスの支援部門で相談できるがん相談支援センター・看護師
ウィッグの費用が心配自治体によって購入費の助成がある住んでいる市区町村・相談支援センター

公的な情報では、育毛剤についてどう書かれている?

ネットで調べると、さまざまな商品の情報が出てきますよね。ここでは、がんの専門機関や公的な情報で書かれていることを見ておきます。

国立がん研究センターのがん情報サービスでは、「2025年3月現在、がんの治療による脱毛の予防や発毛を促す効果が十分に確認された製品はありません。」としています。脱毛やその対処で分からないことや不安がある時は、担当医や看護師、薬剤師、がん相談支援センターの相談員などに相談するよう呼びかけています。

国立がん研究センター中央病院のアピアランス支援センターが出している冊子でも、「脱毛を防ぐ育毛剤は今のところありません。」と書かれています。早く回復させたい気持ちから使う方もいるけれど、期待しすぎないように、使い始めたら3ヶ月くらいは様子を見ましょう、という案内です。

情報のもと書かれていること
国立がん研究センター がん情報サービス脱毛の予防や発毛を促す効果が十分に確かめられた製品は、2025年3月の時点でない
同 がん情報サービス分からないことや不安は、担当医・看護師・薬剤師・がん相談支援センターに相談
アピアランス支援センターの冊子脱毛を防ぐ育毛剤は今のところない。使うなら3ヶ月くらいは様子を見る
同 冊子すべての人が抜けるわけではない。多くの場合、治療が終わると再び髪が伸びてくる

育毛剤の区分で言えること

市販の育毛剤の多くは医薬部外品です。国の通知が示す育毛剤(医薬部外品)の効能の範囲には「病後・産後の脱毛」という言葉も入っています。

ただ、この言葉があるからといって、抗がん剤の治療中の脱毛を防げるという意味にはなりません。治療中に使ってよいかどうかは、区分の表示では判断できないので、主治医に確かめてください。

抗がん剤以外の治療でも脱毛は起こる

アピアランス支援センターの冊子では、頭の脱毛は薬物療法のほか、頭の手術や頭部への放射線治療でも起こるとしています。放射線治療の場合は、照射用のマークが消えないように注意し、シャンプーなどの使い方は医師・看護師・放射線技師の指示に従うよう書かれています。

治療の組み合わせによって気をつけることが変わるので、頭に何かを塗る前には、受けている治療を担当するスタッフに一言確かめておくと安心です。

アピアランスケアとは?外見の悩みを相談していい理由

「アピアランス」は、外見や見た目のことです。国立がん研究センター中央病院のアピアランス支援センターは、アピアランスケアを「がんやその治療に伴う外見変化に起因する身体・心理・社会的な困難に直面している患者とその家族に対し、診断時からの包括的なアセスメントに基づき、多職種で支援する医療者のアプローチである。」と定義しています。

少し難しく聞こえますが、言いたいことはシンプルです。見た目が変わったことで困っていることがあれば、医療者が一緒に考えます、ということなんです。

国の計画にも入っているケア

令和5年3月に閣議決定された第4期がん対策推進基本計画でも、アピアランスケアが取り上げられています。国は、がん診療連携拠点病院などを中心に、外見の変化についての相談や情報提供の体制づくりを進めるとしています。

アピアランス支援センターは、治療で外見が変わっても本人が気にならなければケアは必要ない、としています。目指すのは治療前と同じ姿に戻ることではなく、気になっていることを聞きながら、一緒にいい方法を選ぶことなんです。

こんな気持ちがある時相談していい?
周りの人にどう思われるかが気になる相談できる
鏡を見ると自分らしくないと感じる相談できる
仕事や学校で、髪のことをどう説明するか悩む相談できる
ウィッグや帽子、眉の描き方が分からない相談できる
特に気にならない無理にケアをしなくていい

『こんなことで相談していいのかな』と思うことこそ、聞いてみる価値がありますよ。

外見の悩みを相談できる窓口と、使い分け

相談先がいくつかあると、どこに行けばいいか迷いますよね。役割ごとに分けて考えると、選びやすくなります。

相談先相談しやすいこと使う時のコツ
主治医育毛剤や頭皮用品を使ってよいか、使う時期診察の前にメモを用意して、短く聞く
看護師洗い方、帽子やウィッグの使い方、日常の困りごと治療の日に「髪のことで聞きたい」と声をかける
薬剤師育毛剤の成分や、使っている薬との関係気になる商品の名前や成分表示を見せる
がん相談支援センター外見の悩み、ウィッグの情報、費用や助成の調べ方その病院にかかっていなくても相談できる
住んでいる市区町村ウィッグなどの購入費の助成があるか申請の時期や必要な書類を確かめる

全国のがん診療連携拠点病院などには、がん相談支援センターという相談窓口があります。その病院にかかっていなくても、無料で相談できます。

ウィッグなどの費用については、自治体ごとに助成がある場合もあります。例えば滋賀県のがん情報のページでは、県内の各市町で医療用ウィッグ・乳房補整具などの購入費用の補助が受けられると案内しています。条件や申請の方法は地域で違うので、住んでいる市区町村に確かめてみてください。

がん相談支援センターにたどり着くまで
  1. 通っている病院の案内や掲示で、相談支援センターの場所と受付時間を確かめる
  2. 見つからない時は、受付や看護師に「がんの相談窓口はどこですか」と聞く
  3. 通院先に窓口がない時は、住んでいる都道府県のがん情報のページで近くの拠点病院を探す
  4. 電話か窓口で「髪が抜けてきて、外見のことを相談したい」と伝える
  5. 聞きたいことのメモを持っていく

家族が代わりに相談してもいい

アピアランスケアの定義には、患者さんだけでなく「その家族」も入っています。本人が話す気力のない時や、何から聞けばいいか分からない時は、家族が先に相談窓口へ行ってみるのも一つの方法です。

「本人が髪のことで落ち込んでいて、どう声をかけたらいいか相談したいんです」

こんなふうに、家族自身の困りごととして話してもかまいません。家族向けの情報や、本人と一緒に来られる日の案内をもらえることもありますよ。

職場や学校に戻る前に考えておきたいこと

『仕事中に一気に抜けたらどうしよう』と心配になる方もいるはずです。アピアランス支援センターの冊子では、短い期間に多く抜けることはあっても数日はかかり、会議中に全部抜けるようなことはないと書かれています。

そのうえで、事前に髪を短くしておく、ウィッグを付けて行く、といった準備の例が挙がっています。どの方法を選ぶかは自分の気持ち次第なので、職場や学校にどこまで伝えるかも含めて、相談窓口で一緒に考えてもらうと安心です。

戻る前に考えること相談できる相手
髪型を変えておくか、ウィッグや帽子を使うか看護師・がん相談支援センター
職場や学校にどこまで伝えるかがん相談支援センター
通勤や通学の時の帽子のかぶり方看護師
頭皮のかゆみや痛みがある日の過ごし方主治医・看護師

国立がん研究センター中央病院には、外見の変化について相談に応じるアピアランス支援センターもあります。医師・看護師・薬剤師・心理療法士・理美容職などが連携しているのが特徴です。

主治医に聞くことは?質問メモの作り方

診察の時間は限られているので、『聞こうと思っていたのに、言いそびれた』ということも多いですよね。聞きたいことをメモにしておくと、短い時間でも話しやすくなります。

ここでは、育毛剤だけでなく、頭皮や見た目に関わることをまとめて聞けるメモの作り方を紹介します。

メモの欄書いておくこと書き方の例
今の様子いつ頃から、どのくらい抜けているか治療の何回目くらいから、枕の抜け毛が増えた
頭皮の状態かゆみ・痛み・赤み・乾燥があるか洗う時に少ししみる
使いたい物育毛剤・頭皮用ローション・シャンプーの名前商品名と、成分表示の写真
見た目のことウィッグ・帽子・眉・パーマやカラー職場に戻る時にウィッグを使いたい
聞きたい時期治療中か、治療が終わってからか治療が終わったら何をしていいか
主治医に聞いておきたいこと
  • 今の治療中に、育毛剤や頭皮用ローションを使ってもいいか
  • 使ってもいいなら、いつ頃から始めればいいか
  • 頭皮にかゆみや痛みがある時、どうすればいいか
  • パーマやカラーは、いつ頃からできるか
  • 外見のことを相談できる窓口が病院にあるか

聞き方の例

いきなり聞くのが恥ずかしい時は、最初に一言そえるだけでも話しやすくなります。

「治療とは別のことで恐縮なんですが、髪のことで一つ聞いてもいいですか」
「もちろんです。どんなことですか」
「抜け毛が増えてきて、育毛剤を使ってもいいか知りたくて。この商品なんですが」

商品名だけでなく、成分表示の写真を見せると、主治医や薬剤師も判断しやすくなりますよ。

自己判断で始めない

治療中は、頭皮が敏感になったり、治療の内容によって気をつけることがあったりします。ネットや周りの人にすすめられても、まずは主治医に確かめてから始めましょう。

了承が出て育毛剤を使う時は、どこを見る?

主治医から使ってもいいと言われたら、次は商品の表示を見ていきます。選ぶ基準の詳しい話は治療後に育毛剤を選ぶ基準にまとめているので、ここでは確かめる順番だけお伝えしますね。

表示を確かめる順番
  1. パッケージの区分(医薬部外品か、化粧品か、医薬品か)を見る
  2. 有効成分と、その他の成分の欄を見て、主治医に伝えた物と同じか確かめる
  3. アルコールや香料、清涼感の成分が入っているかを見る
  4. 使用上の注意に、使えない人や中止するサインが書かれているかを読む
  5. 腕の内側などで試してから、少しずつ使い始める

アピアランス支援センターの冊子のとおり、使い始めたら3ヶ月くらいは様子を見るつもりでいると、焦らずにすみます。かゆみや赤みが出たら使うのをやめて、主治医や皮膚科で相談してください。

発毛剤は別の相談として考える

ミノキシジルを配合した発毛剤は、育毛剤とは区分の違う医薬品です。添付文書には、使えない人や注意することが細かく書かれています。

治療中や治療後に発毛剤を考える時は、育毛剤とは別の話として主治医に相談してください。考え方は抗がん剤治療後の発毛剤の記事で説明しています。

育毛剤えらび

買う前に、育毛剤の選び方を確認

医薬部外品の育毛剤・医薬品の発毛剤・頭皮用化粧品の違いと、成分・使い心地・続けやすさ・買い方から自分に合う1本を選ぶ時に見ておきたいポイントをまとめました。

無料育毛剤の選び方を見る

育毛剤以外で、見え方を整える方法

育毛剤は、主治医の了承が出てから考える物です。一方で、見え方を整える工夫は、今日からでも始められます。

アピアランス支援センターの冊子では、治療による脱毛のための特別なシャンプーがあるわけではなく、洗い方も今まで通りでいいとしています。頭皮を傷つけるほどこすらなければいい、という考え方です。

方法向く場面気をつけること
頭皮用ファンデーション髪は残っているが、分け目の薄さが気になる夜はシャンプーで落とす。合わない時は使わない
パウダータイプの増毛剤一時的にボリュームを見せたい汗や雨で落ちることがある
帽子通勤や外出の時普通の帽子でかまわない。室内用の柔らかい物も便利
ウィッグ職場や学校、人に会う時その場で買わず、試着して写真を撮ってから決める
眉を描く眉が薄くなった時抜ける前に描き方を練習しておくとラク

ウィッグについて、冊子では、お店ではその場で購入を決めずに試着をして写真を撮っておく、まずは1つ買えば十分、と書かれています。高いから合う、というわけではないそうです。

『ウィッグを買わないといけないのかな』と思う方もいるかもしれません。ただ、使うかどうかは自分の気持ちで決めていいんです。帽子だけで過ごす方もいますよ。

ウィッグの選び方や治療前の準備は抗がん剤治療の抜け毛対策で、治療中の頭皮の状態の見方は治療中の育毛剤の考え方で詳しくお伝えしています。育毛剤がそもそもどんな物かは、育毛剤とはどんな商品かを読んでみてください。

よくある質問

抗がん剤の治療前から育毛剤を塗っておけば、脱毛を防げますか?

がんの治療による脱毛を防ぐ効果が十分に確かめられた製品は、今のところありません。治療前から使いたい時も、まず主治医に相談してください。

育毛剤を使ってもいいか、誰に聞けばいいですか?

まずは主治医です。成分のことは薬剤師、日常の使い方は看護師に聞くと話がスムーズです。迷った時は、がん相談支援センターで相談先を案内してもらうこともできます。

がん相談支援センターは、その病院の患者でないと使えませんか?

がん相談支援センターは、その病院にかかっていなくても無料で相談できる窓口です。受付の時間や方法は施設ごとに違うので、事前に確かめてみてください。

見た目のことで相談するのは、気が引けます。

外見の変化への支援はアピアランスケアと呼ばれ、国のがん対策の計画にも入っています。周りの目が気になる、自分らしくないと感じる、といった気持ちも相談していい内容です。

育毛剤を使い始めたら、どのくらい様子を見ればいいですか?

アピアランス支援センターの冊子では、使い始めたら3ヶ月くらいは様子を見るよう案内しています。かゆみや赤みが出た時は、期間に関係なく使うのをやめて相談してください。

ウィッグの費用に助成はありますか?

自治体によっては、医療用ウィッグなどの購入費の助成があります。条件や申請の時期は地域で違うので、住んでいる市区町村やがん相談支援センターで確かめてみてください。

まとめ

この記事の要点
  • がんの治療による脱毛を防ぐ効果が十分に確かめられた育毛剤は、今のところない
  • 育毛剤を使いたい時は、自己判断で始めずに主治医に相談する
  • 外見の悩みはアピアランスケアとして相談できる。窓口はがん相談支援センターなど
  • 主治医には、今の様子・頭皮の状態・使いたい物・見た目のこと・時期をメモして聞く
  • 了承が出たら、区分・成分・使用上の注意を確かめ、3ヶ月くらいは様子を見る
  • ウィッグや帽子、頭皮用ファンデーションなど、見え方を整える方法は今日からでも選べる
育毛剤えらび

育毛剤えらび 編集部

抜け毛や髪のボリュームが気になり始めた方に向けて、育毛剤(医薬部外品)・発毛剤(医薬品)・頭皮用化粧品の違い、成分と選び方、正しい使い方と続け方、市販と通販の買い方、定期購入の確かめ方をまとめている情報サイトです。 公式サイト

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